面分光とは?

 我々のグループでは,次世代超巨大望遠鏡Thirty Meter Telescope (TMT)に搭載される可視光分光撮像装置MOBIE/WFOSに組み込むための面分光ユニット開発へ向けた基礎技術開発を行っています.

 天体観測の代表的な観測手法に撮像観測とスリット分光観測があります.撮像観測は天体のイメージを取得する方法で,空間2次元の情報を得ることができます(図1右).スリット分光観測は細長いスリット状の窓を通過した光だけを分光するので,空間方向には1次元だけの情報しか得られませんが,分光するので波長方向の1次元が付加されて,合わせて2次元情報となります(図1左).このように従来の手法では空間2次元の情報か,空間1次元と波長1次元の情報を得ることしかできませんでした.

 しかし面分光を用いれば空間2次元と波長1次元の3次元情報(図2)を同時に得ることができます.同時というのが重要で,気象条件の変化の影響を受けない均質なデータを得ることができます.たとえば多数枚の異なるフィルターを用意して,各々のフィルターを用いて撮像観測すれば,三次元情報を得ることができますが,各露出は異なる時間に行われるので,気象条件の変化の影響を受けてしまいます.

 一旦,3次元情報が得られれば,そのデータから任意の波長の画像を抽出したり,各場所でのガスの運動状態を調べたりすることができるので,面分光は銀河などの広がった天体の詳細研究に最適な観測手法です.

 CCDなどの検出器の受光面は2次元平面であるので,3次元情報をどのように2次元平面に展開するかが,面分光のポイントになります.この役割を担うものが面分光ユニット(Integral Field Unit ; IFU)と呼ばれるものです.その面分光ユニットにはいくつかの種類があるのですが,我々のグループが開発している,イメージスライサータイプは他の手法に比べて,検出器受光面を有効に利用できるので,一度の露出でより多くの情報を得られるという利点があります.

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