デュワー

CCDデュワーは,HSCの心臓部です. CCDを焦点面上に精度良く配置するとともに,-100℃に真空冷却する目的があります.約600mmのコールドプレート上にタイル状に並べられたCCDは,-100℃に冷却した状態で望遠鏡の高度変化に対して約10μmの精度で維持される必要があります.この精度は,注意深い機械設計と精度の高い部品の製作そして慎重な組立てによって達成します. CCDは合計100Wのパルス・チューブ冷却器2台を使って-100℃に冷却しています.

CCDデュワー分解図と主要構成要素

CCD デュワー 諸源・諸性能
搭載CCD数 116 (4 for Auto-Guiding, 8 for Auto-Focusing)
Pixel Scale 0.169 arcsec
CCD Package間距離 0.3 mm
焦点面サイズ 1.5 degree (直径497mm,補正光学系のケラレ 25%)
焦点面クリア開口 1.6 degrees (直径533mm, 補正光学系のケラレ 40%)
窓透過率 > 96 % for 350 -1200 nm
CP変形変位設計値 平面度 5um (仕様 10um); 変位 6.2um (仕様 15um); 傾き 0".8 (仕様 10" )
入熱量設計値 53W (輻射: 45W,伝導: 4.1W,CCD発熱: 2.8W)
冷却システム 8W パルスチューブ式冷凍機 (富士電機)
CCD駆動温度 -100℃
排気システム イオンポンプ (Varian VacIon plus 20)
大きさ φ700mm × 500mm
重量 200 kg

焦点面

焦点面のアセンブリは,116個のCCDを精度良く配置した焦点面と,これを主焦点ユニットのI/Fポイントへと接続する部分からなり,HSCの心臓部です.焦点面 を構成するコールドプレート(CP)は,高剛性と高熱伝導率を併せ持つSiC(シリコンカーバイト)で作られています.SiCはCCDパッケージの材料であるAlN(窒化アルミニウム)と同等の熱膨張率を持つため,冷却時にマッチングがよいことが採用された第一の理由です.またSiCは加工性も大変よく,直径620mmという大型ものに対し,平面度5μm,CCDの位置決め用穴の位置精度30μm,穴径精度20μmと大変精度のよいものが製作可能です.. コールドプレートは6本のステンレス薄肉チューブ(肉厚0.5mm)で支えられており,Dewarの姿勢変化によるコールドプレートの変位を抑えるとともに,伝導による熱流入を低減しています.図のようなトラス構造をとることにより,Dewarの姿勢変化によるコールドプレートの変位量は重力方向に最大6.2μm,傾きは0.8arcsecと大変小さな値となることがFEM解析によって示されています(結像性能バジェットからの要求値はそれぞれ15μm,10arcsec).またトラスからの熱流入量は2.15Wと計算され,窓からCCDへ流れ込む輻射熱38Wに比べてはるかに小さいです.

Window Assembly

入射窓には溶融石英製を使っています.その厚さは,内部を真空に引いたときにかかる応力が十分小さな値(安全率で7.2.Suprime-Camと同じ)となるようにして,37mmと決定しました.このときの窓のたわみ量は中央部で138.1μmであり,結像性能への影響は与えません.窓の形状は円錐台型のものを採用しました.CCDに近い側の直径が550mm,主鏡側の直径が586mmであり,斜面で真空シールしています.このような形状を採用することによりCCDと窓の間隔をつめることが可能になり,限られたバックフォーカスを節約することに役立っています.円錐台の斜面ではOリングにより真空をシールするとともに2本のテフロンリングを取り付け,これによって窓と窓枠の相対位置決めを行っています.

FEE Assembly

116個という多数のCCDを効率よく扱うために,HSCではAD変換までを行う Front-End Electronics (FEE) と呼ぶエレクトロニクスをデュワー内部(真空部)に実装しています.これらのFEEを取り付け,排熱を行う部分がFEE Assemblyです. FEEは2種類あり,CCD4個をハンドルするものが22枚,CCD6個をハンドルするものが6枚,上の写真(d)のように4つのブロックに分かれて取り付けられています.FEE Assemblyの階層にはBack Assembly側から冷凍機のコールドヘッド・熱パスが入ってくるためFEE Assemblyには一部スペースが設けられています.

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